名前と愛をなくした男(後編)
前編までのあらすじ: 竜王のひまごである竜樹は、無愛想で常識知らずな18才の青年。 ある時、一人の美しい魔導士を助け、不覚にも一目惚れ。それが男だと気付いても後 の祭り。 一方、魔導士の名はセレアス。 最初こそ竜樹を敵と間違えたりしたものの、今ではすっかり心を許し、良き理解者と なっている。 ただ、竜樹が寄せてくれる一方的な好意を、どうにも愛とは捉えられない常識人であ るため、悩みは尽きない。 アレフガルドの戦乱を経て、共に旅するようになった二人は、セレアスの故郷メルキ ドに立ち寄り、飛竜の翼で海を渡って、南の大陸第一の都市、水の都ベラヌールに入 った。 折しもベラヌールは水の感謝祭の最中。二人は美しい祭を楽しむが、セレアスは謎の 男から、竜樹に流れる血に隠された真実を知らされ、自分の存在が竜樹の邪魔になる のだと、激しく動揺する。名前を持たないその男は、そんなセレアスの記憶を奪って しまった。 何も知らない竜樹は、セレアスを探すが‥‥‥。
1.ひとりぼっちの夜祭
2.失われた時間
3.月だけが知っている
4.最後の選択
5.竜の血族
6.いつまでも側に
7.帰らぬ人へ